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自分の人生をデザインする!

これからのビジネスは美意識なしでは戦えない

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うわ、久々にこれキターっ!て独りごとが出てきたくらい、ドーパミン出まくりの本でした!!

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」  山口周
https://goo.gl/9VqQaN

タイトルからは新書にありがちなビジネス本かなぁ、と思いつつ、青山ブックセンターでアート&デザインのコーナーに平積みされていたこの本と、講演会に参加した鈴木絵里子さんの本と2冊を買いました。

美意識、と抽象的なワードから受けるイメージを想定していると、最初から良い意味で裏切られます。

内容はロジカルかつ骨太。美意識が今のビジネスにおいて、どれだけ重要な概念になってきたか、という事が強い説得力を持って語られます。少しだけ内容ご紹介しますね。

1.美意識は表層的なものだけが対象ではない

今、グローバル企業が世界的に著名なアートスクールに幹部候補生を送り込んでいるのをご存知ですか?私は知りませんでした(汗)

「ニューヨークやロンドンの知的専門職が早朝のギャラリートークに参加するのは、こけおどしの教養を身につける為ではなく、極めて功利的な目的の為に「美意識」を鍛えているのです。」

「なぜなら、これまでのような「分析」「論理」「理性」に軸足を置いた経営、いわば「サイエンス重視の意思決定」では、今日のように複雑で不安定な世界においてビジネスの舵取りをする事ができない」ということをよくわかっているからです。」

ここで言われる美意識とは一般的な美意識の概念を、経営におけるものにまで拡大しており、

・従業員や取引先の心を掴み、ワクワクさせるような「ビジョンの美意識」
・道徳や倫理に基づき、自分たちの行動を律するような「行動規範の美意識」
・自社の強みや弱みに整合する、合理的で効果的な「経営戦略の美意識」
・顧客を魅了するコミュニケーションやプロダクト等の「表現の美意識」

としています。

特に「ビジョンの美意識」「行動規範の美意識」

ここ、すごく響く!

自分の美意識に照らし合わせてどう感じるか?

それは表層的なものだけが対象ではない。

美しい世界と行動はどういうものなのか。

感じとれる美意識を鍛えろ!そう言われている気がします。

2.経営とデザインの共通点

昨今グローバル企業のトップが、デザイナーを経営全般のアドバイザーにしている例は増えています。

ユニクロでの佐藤可士和さん、無印では深澤直人さん、ソフトバンクにおける大貫卓也さん、そして言うまでもなくアップルのスティーブジョブズ

マッキンゼーもデザイン会社を買収しています。

さらに日本の歴史を遡ると最初のチーフクリエイティブオフィサーは織田信長にとっての千利休だったと著者は述べています。

今、多くの企業経営者は、コンサルタントに外部アドバイスを求めるのでなく、クリエイターやデザイナーにそれを求めるようになりました。

なぜか?

デザインと経営、というと多くは表層的なロゴマークやプロダクトといった領域に限られると思われるかもしれません。

でも実は、経営とデザインには、本質的な共通点があるのです。

「その本質を一言で言えば、エッセンスをすくい取って、あとは切り捨てる」

ということ。

これ!

エッセンスを的確に見つけてすくいとれば、レバレッジをどんどん効かせられる。

そのエッセンスを見つけることを論理や理性だけに頼ると、それがコモディディ化されているだけに、互いに消耗戦になるだけなのです。

「テクノロジーやデザインは真似できても、長期間かけて育まれた企業の美意識であるストーリーと世界観はコピー出来ない。」

「エッセンスを視覚的に表現すればデザインになり、そのエッセンスを文章で表現すればコピーになり、そのエッセンスを経営の文脈で表現すればビションや戦略ということになります。」

エッセンス=本質的なもの。最も大切な要素。真髄。

エッセンスを見つける能力に長けていれば、最短でゴールに近づける。

3.美意識の鍛え方

そして、えー、今まで美意識なんて意識したことないよー、という方のために美意識の鍛え方もしっかり書かれています。

絵画などアートを観る、哲学に親しむ、文学を読む、詩を読む、などなど。

特に詩を学ぶのは有効なリーダーシップのトレーニングになるという視点に驚きでした。

なぜなら、両者ともに「レトリック(修辞)が命である」という点だそう。

偏差値は高いけれど、美意識が低いエリート達に共通しているのは、文学を読んでいないと言うこと。

例として、オウム真理教の信者を挙げているのですが、彼らの風貌、踊り、工場のようなサティアン、全てに美意識がない。(完全同意)

「人間にとって何が「真、善、美」なのかという事を純粋に追求してきたのは哲学であり文学であるからです。」

4.まとめ

ほんのさわりだけご紹介しましたが、ぜひぜひ!読んでみて下さいー!ああ、自分の文章力のなさがもどかしい。。

私にとっては、あらゆる活動と意識に通じる軸を見つけた興奮でいっぱいです。

そしてこの本、とても読みやすく無駄文が全くない、読者の事を考えた親切な作りです。

忙しい読者の為に、と銘打って始めの章に結論が書かれ、残りの章は詳細について様々な事例と共に述べられているのです。しかもポイント箇所は太字という丁寧さ。

でも、最初だけ読めばいい、と思わないでくださいー!

残りの章は的確な具体例が満載なので、どんどん脳内パズルがはまっていくはず。

そうそう、先週、ルクセンブルグプライベートバンク勤務の日本人女性から、顧客である超富裕層についてお話を聞く機会がありました。

その中で世界の超富裕層にどこにいったら会えるのか?という質問に対しての答えは
「アートフェアに行けば会えます!」とのこと。

ちなみに超富裕層にサラリーパーソンは一人もいない。
扱い額が最低2億からというプライベートバンクを利用するような超富裕層は皆さん経営者だそうです。

超富裕層で経営者の彼らがアートを愛する理由も、この本から紐解けるかもしれません!

私は今年、どういう視座で動いていけば良いのか、その指針になる!と衝撃を受け、頭の中のモヤモヤが整理されました。

*画像は隈研吾先生の作品 根津美術館。隅々まで行き届いた美意識が気持ちいい空間です。隈研吾先生好きだなー。